耳鳴りの鍼灸治療法
当院は耳鼻疾患を第一の専門領域としており、耳鳴りの治療に力を入れています。耳鳴りは、突発性難聴、メニエル症候群、感音性難聴などによって起こることがあり、これらの疾患で起こる耳鳴りに対応しています。
感音性の耳鳴りについて
耳鳴りの原因は専門書で様々に指摘されていますが、一般に聴力の低下があると起こりやすいとされており、その多くは感音性難聴を伴っています①②④。難聴を伴わない耳鳴りも内耳神経性耳鳴り(感音性)が多い①④とされています。また耳鳴りと同側の椎骨動脈の血流障害が高率に見られるという研究④もあります。
この他に、自律神経の乱れから交感神経の働きが優位になり、耳鳴り頭鳴りが起こることがあります。
当院の耳鳴り鍼灸治療法
当院の耳鳴りへの治療は、頚部、頭部耳周辺、腕にある経穴に刺鍼していきます。頚部への刺鍼は、硬結・筋緊張を緩和し、椎骨動脈の圧迫、他の血管群、自律神経の緊張を解き、内耳の血流改善を促します。耳周辺、顎関節周辺への刺鍼は、周辺リンパ循環と内耳循環を促進し、蝸牛の水腫の除去、手、腕にある経穴への治療は、自律神経の「副交感神経優位」調整を目的に行います。一部の耳鳴り(血管神経興奮型)では、中国で学んだ「神経パルス通電法」を併用し、神経興奮を鎮静していきます。これら様々なタイプの耳鳴りに対して、「当院独自の治療効能」を適切に導入し、総合的に耳鳴りを改善していきます。
鍼灸が適応する耳鳴りと関連疾患
・感音難難聴〔内耳神経性/ 突発性難聴/ メニエール症候群〕
・めまい
・中耳炎(軽症初期のみ,重症,慢性は無効)
・頚椎症
・自律神経失調症/ 不眠症/ ストレス
・顎関節症
・耳管の問題
・耳小骨筋肉の痙攣
病院での治療
薬物 TRT療法など
治療回数と適応時期について
治療回数の目安:
10~20回以上
※適応症とした耳鳴りの中には、加齢による影響が強く、鍼灸の効果が十分得られない場合があります。また、耳鳴りは検査でも原因を特定できないことが多いため、当院での「治療回数の目安」「適応」「不適応」は、断定的にお伝えしにくいです。事前のお問い合わせ時、来院時、それぞれ「その時点で判る範囲」でお答えしております。
治療の適応時期:
治療開始は、早ければ早い方がよいです。
引用参考文献)
1)よくわかる聴覚障害/ 小川郁
2)医道の日本 第686号/ 埼玉医科大学耳鼻咽喉科 神経耳科部門
3)実用針刀治療学/ 人民衛生出版社 任月林 任旭飛
4)耳鳴り難聴患者の84.26%に患側椎骨動脈-脳底動脈系統の血流速度異常 http://zrlishiliang.blog.sohu.com/#tp_c37ab70892
両側の耳鳴り 大阪府〇〇市 男性会社員
病歴:2ヶ月前に発症後徐々に悪化
随伴症状:肩こり、不眠、発症当時に吐き気、無性にイライラ、肩こり暦15年
初診 2010年2月4日
2回目 2/7 前回直後から音量が軽減、翌日は少し戻る。治療当日は身体がだるかった。
3回目 2/10 疲労感はその時だけ、朝一は響くがやや改善
4回目 2/13 前回施術中、耳なりが少し大きくなるが、その後戻る。全体として変化無し 前回施術翌日、眠気
5回目 2/17 13日の夜間の音量減少、今日もまあまあ良い 現在治療前の5~7/10
9回目 3/3 イライラはなくなった。耳鳴り4~5/10で一進一退
10回目 3/6 音量6/10 音質が低くなり普段でも気にならないレベルになりご本人も大変喜ばれる
13回目 3/24 前回後耳鳴りが最も楽なときで3/10程度
14回目 3/28 耳鳴り3~4/10キープ 前回治療翌日、大便が1日に2回出る。(こんな事は今までにない!←ご本人談)小便も以前は必ず夜2回はトイレに起きていたが、今は早朝の1回だけになった。
16回目 4/10 耳鳴りは3/10程度の音量でほぼ固定と判断し、ご本人もこれまでの治療結果にも大変満足されているので治療を終了する。
考察:両側の耳鳴りが激しく不眠など日常生活に支障をきたすほどであったが、比較的早期に鍼灸治療を開始されたため回復もわりと早かった。耳鳴りのほかにイライラ・不眠症状・肩こりも無くなり、便秘や排尿困難も改善し体質も改善されたと思われる。
耳鳴り 大阪 〇〇市 40歳代 男性
主訴 耳鳴りは若い頃からあったように思うが、この1ヶ月間にたまにきつくなり、この1週間はきついのがずっと続いて今は聞き取りも悪いです。左は甲高い音で一定のリズム 右は左より小さな音でピーという音 時々〇〇をしてしまう。以前は時々〇〇〇がありました。
問診 (ここでは割愛します)
所見 頚部全緊張 後頭上部硬穴あり
初診 2011/6/11 治療直後、頚がだるい
2回目 6/18 前回の「だるい」のはその日だけだった。日、月曜日は少し音が小さくなったが、疲れるとまた戻った。
3回目 6/22 はっきり聞こえるようになった。これが一番変化した。朝一は大きい時がある。
4回目 6/30 先週は身体がしんどかった。
5回目 7/6 肩も軽く耳鳴りは相対的に調子がいい。
6回目 7/ 13 土日OK!その後寝不足で少し戻ったみたいだ。
7回目 7/20 週末から今朝までは調子良かったが、夕方はまた出てきた。
8回目 7/27 だんだん気にならない時間が増えている。〇〇はほとんど無くなった。
9回目 8/1
10回目 8/8 寝不足でで少し大きくなったが、全体的には静かな状態を維持している。
11回目 8/17 耳鳴りはかなり落ちついており、ほとんど気にならないところまで良くなった。
トータル11回で元のレベルまでに改善でき大変お喜びいただきました。
考察
この症例は、刺激をしっかり入れるほうが効果が得られやすいタイプの耳鳴りで、必要とする刺激量を常に考慮する当院の治療方針が生かされたと感じます。
こちらで紹介する症例は、治療終了までの症状の好転状況、体調の変化などを簡潔にご理解していただく為に公開するものです。またこれを踏まえたうえ、耳鳴りと関連する病態や治療内容など当院で得た臨床情報、コンテンツコピー防止の観点から、数ある症例の中から極一部を厳選して掲載していますので、今後も蓄積される症例すべてを無制限に逐一「症例ページ」を作成をしてウェブ上に公開するものではありません。
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