吹田市 主婦37才 急性網膜炎への鍼灸治療と運動ストレッチ指導
症状は、両眼の視野狭窄、中心暗点、視力(右0.9/左1.0)
ネットで見た眼の鍼灸治療をご希望で来院。
当院の問診による(東洋医学的診断)判断では、「治療効果が得にくいレベル」の旨あらかじめお伝えしてご納得のうえ治療行う。
眼の治療途中ご主人様の腰痛についてご相談があり、その際腰痛は当院の鍼治療で大きく改善できる可能性が十分ある旨をお伝えした。
しかしその際、ついでに腰痛体操を教えてほしいと更なるご要望があり、困惑させられた。
以下に詳細を記します。
この場合「ご相談」に対して、こちらが選択可能な対応として、いくつか想定できます。
(実際には腰痛に適応するいくつかの鍼治療のパターンが既に頭の中に完成していますが、鍼治療をおすすめした後に出た「運動に関する質問」を前提としての対応)
そもそも腰痛に有効な運動の有無の判断が患者様によって成されるものなのか?
これは大いに疑問であり、たとえそれが有ったとしても、教えてほしいと求められたところで、この場に本人(ご主人様)がいないということであり、まともな判断ができる訳がありません。
しかし患者さんのご質問にはなるべく誠意をもってお応えしなければなりません。もしかしたらこちらの知識レベルを探る意味でのご質問かもしれず、まったく無視も出来ません。
結果としては運動やストレッチがこの視野狭窄の女性のご主人様の腰痛にどの程度適応するかのレベルは完全に度外視して、とりあえず腰部と臀部の緊張が取れる可能性が有る運動・ストレッチ法をお教えするように対応しました。もちろん鍼の方が効くということは先にもお伝えしており、運動が適応で合う場合でも鍼よりも大きな改善は期待できないし、まったく無効の可能性があることもお伝えしておきました。所要時間は15分程度、運動2種、ストレッチ3種
その後に視野狭窄の治療にかかりました。その後、眼の治療は効果が乏しく11回で終了。
(※治る可能性が低いものを大きく粉飾して長期間無駄に通院させることがないような対応を取っています。)
当院では、時々このような、当人の治療とは直接関係ない領域へのご質問をいただくことがあります。そして目下その都度真摯に対応しているところでありますが、やはり勘違いを起点としたご質問すべてにお応えするにはかなり手間がかかりますので、この度はこの同じテーマに関する補足説明を更に詳しく行います。
まず腰痛と一言で言ってもいろいろです。軽く「じわ~っと」出ている程度から、足先まで痺れがある慢性化したもの、ヘルニアを伴うもの...、当院の腰痛の鍼灸治療ページにもそれなりの説明を行っています。軽症なら運動法だけでも治る可能性がありますが、そもそも当院の治療方針には腰痛を「運動のみで治す」とはどこにも書いていないので、このような説明自体が徒労であることを前提としなければなりません。
また、運動と一言で言ってもいろいろです。だいたい多い勘違いですが、「運動=筋力トレーニング」、「運動=鍛えるもの」と決めつけている方が多いようです。自宅でできる自重を利用したトレーニングも高級マシンを利用したトレーニングも筋力強化を目的とするトレーニングであり、腰痛や坐骨神経痛に対して必ずしも治療的効果を引き出せるものではありません。だいたい筋トレに限ってもそれぞれのシチュエーション(状況)がありますので、ただ漠然とやればいいというものではありません。ある筋肉は鍛える必要があるが、ある筋肉はまったく鍛えなくていい、とかいろいろです。素人がちょっと質問しただけで何が分るのでしょうか?
運動療法と言えば、寝たきり予防や骨折後の運動と同じ扱いで、多くの方が「運動=筋トレ=筋力強化」これしかない方程式が頭にこびりついて離れないようです。
しかし、実際の領域になると実際はそればかりではありません。
以前にお世話になっていたジムの運動でも単純にマシンを使ったトレーニングだけを導入しているものではなく、例えば関節や骨格などに働きかけるものがあり、どのプログラムでも整体など他の自費治療を併用することも基本となっており、腰痛を単純な筋力トレーニングだけに頼って治すというものではありませんでした。
最後に
おそらくこの女性は私の経歴上の情報と当院の治療方針を混同されたまま質問をされていたのかもしれません。似たようなご質問が時々ありますので同じような勘違いをされている方が他にも大勢いるのかもしれません。
当院では鍼灸治療を主体としている治療院ですが、一部ケースによっては相乗的に治療効果を高める処置として適宜運動を併用しています。他には鍼灸で治った後の予防養生。
当院の治療方針は「医療的な治療効果を狙う治療を行なうこと」でありますので、どんな治療対象でも無条件に導入するものではありません。例えば「本で体験談を見た」などでご希望があっても無理な方には導入しておりません。またご本人の治療と無関係なレベルでの運動、ストレッチ、他の養生法の紹介は行っていません。
なお網膜炎に対する治療の適応範囲にも個人差があります。