前回につづいて腰痛と炎症との関係について述べていきます。急性腰痛は炎症の可能性があるので、冷やす、消炎する、が基本とお伝えしました。
それに対して、慢性腰痛の原因は炎症というより筋緊張によるものが多いので、筋肉を温め血管を拡張し、血行をよくして緊張をとる必要があります。温める方法はいろいろありますが、入浴、温湿布、使い捨てカイロ、お灸などの方法があります。それぞれ状況に応じてよい方法を試されたらよいでしょう。温湿布は気軽に使用できます。ただし温湿布は薬効成分によって皮膚上の温覚を刺激するタイプのものがあり、実際に患部(内部)が温まっているとは限りませんので、ご購入前によく確認して選択することをおすすめします。使い捨てカイロは腰を保温できる時間が長く、よいアイテムですが、低温やけどに注意が必要です。やけどに至らずともあまり熱いと、かえって血管が収縮する可能性があります。使用する時間や貼り方に工夫を加えるなどして適度な温かさを保つのが良いでしょう。入浴はやはりゆっくり浸かる半身浴がおすすめです。お灸ももちろんおおすすめです。痛いところにすえてもよいですし、緊張や凝りを感じるところにすえるのも良いです。
例外に、仙腸関節炎などの腰痛もあり、慢性であっても炎症性の可能性は否定できないので、温めても改善を感じなければ、専門家のもとで治療を受けられてください。もちろんどちらも鍼治療が大変有効です。
ということで、慢性腰痛(筋性)は温めて血管を拡張し血流をよくして疲労物質や発痛物質の除去が回復のポイントになります。温熱療法は、最近テレビでも紹介された熱ショックたんぱくにより細胞レベルの代謝が活発になり、腰痛以外に全身的健康の維持の為の様々なメリットが得られますのでぜひおすすめです。腰という字は、「月」と「要」という字で構成され、「からだ」の「かなめ」とも読むことができます。腰はしっかり養生してほしいです。
当院では腰痛の方もよく来られます。慢性腰痛、急性のぎっくり腰など。そしてよく質問を受けます。温めたほうがいいですか?冷やしたほうがいいですか?
もちろん腰痛のそれぞれ痛みの原因によって対処が異なりますが、通常急性のぎっくり腰は何か重い物を持ち上げる時や、腰を前かがみにしたり、体幹の捻転など不自然な動きで腰に無理な力がかかった時起こります。もう少し具体的には、普段から腰部筋に蓄積された疲労で筋の柔軟性の低下が起こり、先ほどの動作が更なる負担となり、ついに腰の筋肉がケイレンの様な過緊張状態に陥ったり、あるいは筋肉を含む周辺の軟部組織に何らかの障害が合併して炎症を起こしてしまうことで起こります。

この場合、炎症が起こって痛みが起きている可能性がありますので、なるべく早く炎症を鎮めなければなりません。炎症を放置すると組織の破壊が進みますので、消炎鎮痛作用のある冷湿布か氷で素早くアイシングする必要があります。ズキズキ痛けば氷で直接冷やせればいいのですが、なければ冷湿布が無難で十分です。
時々お聞きする失敗例は、温めて血行を良くしようという考えから、その日のお風呂でゆっくり入浴してしまい翌日に痛みが悪化してしまうパターン。これは炎症の程度によりますが、入浴で患部が温まり炎症が進行することによる痛みです。
ぎっくり腰は、ご本人が単なる筋緊張のみの痛みか、炎症による痛みかの判断がつきにくいので、冷やすか温めるかの判断もつかないことになります。これは仕方ないのですが、炎症が無い腰痛にアイシングをした場合のデメリットは大きくないので、やはり「冷湿布」がおすすめです。
分からなくてアイシングに不安や抵抗を感じるのでしたら、少なくともその日は温めずに様子を見る方が無難かもしれません。
もし腰痛が悪化したり、何日経っても腰痛が改善されなければ鍼灸治療がおすすめですが・・・いま起こったところの腰痛の方ならこれを参考に正しい対処してほしいですね。次回は急性期以降の腰痛対処法をお伝えします。
(*上記の症状には当院の鍼は非常に有効ですが、結石による発作やその他の原因による急性腰痛も存在しますので、専門医での受診はされてください。)
やっとのことですが、つい先日【頚椎症の治療】のページをリニューアル公開いたしました。頚椎症治療は、当院の専門分野であり、得意治療の本丸ですのでもっと早く公開したかったのですが、
画像の選択加工に時間がかかっておりました。
【頚椎症治療】のページ内に紹介しております症例の他にも、開業以来から蓄積された多くの完治改善実績がございます。その中には、五十肩や下肢痛などの別の症状が混在する複雑な症例があります。今後それらの頚椎症や手の痺れの症例は、【鍼灸治療・改善例】のページでまとめてご紹介してまいります。今しばらくお待ちください。m<_ _>m
頚椎症、手の痺れ、だるいなどの症状でお困りでしたら、まず上記のページをご覧ください。